社会的インパクトについて 1

1.社会的インパクトって何?

最近、ようやく「社会的インパクト」(Social Impact)と言う言葉を見かける機会が多くなったように感じます。

そこで、今回は、社会的インパクトについて、採り上げたいと思います。

色々なところが、様々な定義していますが、ここでは内閣府のそれを使って説明していきましょう。

社会的インパクト  :
短期、長期の変化を含め、当該事業や活動の結果として生じた、
社会的・環境的なアウトカムのこと

アウトカム :

事業や取組のアウトプット(事業活動の直接の結果)がもたらす変化・便益。

ここに出てくる「アウトカム」が社会的インパクトの世界では重要なキーワードとなります。

従来は「アウトプット」を以て、「事業の成果」とすることも少なくなかったのですが、アウトカムは、それにとどまらず、(望ましい)社会的変化・便益にフォーカスしたものです。

例えば:

肥満解消講座に100名が出席        アウトプット
出席者の過半数が10%以上体重減量達成。  アウトカム

アウトプットは自力で制御可能なもの、アウトカムは制御困難なものと理解しても良いかも知れません。

このアウトカムを客観的に評価することで、当該事業の評価が出来る訳です。
その為には、アウトカムについて「指標」を設定することが大事です。
それは同時に「解決すべき社会課題を把握する」ことになります。
指標は定量的なものだけでなく、定性的指標(例えばアンケート結果)も当然含まれます。
その指標の達成状況を評価すれば良いのです。

例えば、社会課題として地域活性化を採り上げたとします。

地域活性化 …… 『これでは、抽象的過ぎます』
    👇
地域の交流人口が増える …… 『これなら「アウトカム」になります』

指標としては、例えば、月間入村人数 100名 10割アップ と言うように定めることになります。目標となる値をどのように決めるかについては別途説明させていただきます。

これらを踏まえて経営に反映させる手法が、「社会的インパクトマネジメント」
Social Impact Management)です。

社会的インパクト・マネジメント (SIM) :
 事業運営により得られた事業の社会的な効果や価値に関する情報に
 もとづいた事業改善や意思決定を行い、社会的インパクトの向上を
 指向するマネジメントのこと

ロジックモデル :
 仮説をもとに達成手段とアウトカムの関係を論理立てて整理したもの
「プログラムのための利用可能な資源、計画している活動、達成したいと
 期待する変化や成果の関わりについて,皆様の考えを体系的に図式化する
 もの」(W.K.ケロッグ財団の「ロジックモデル策定ガイド」(2003))

測定指標 
 目標が実現できたかどうかを明確に測定できる指標。事前に設定。
 定量・定性指標の測定によりインパクト評価の客観性が担保される

2.SDGsとの親和性

次回以降、社会的インパクトの歴史を振り返りたいと思いますが、今世紀初頭に生まれた、このコンセプトは当初、NPOやNGO等社会的活動を主体とする団体に広がっていきました。特に補助金・助成金等の判定等にも社会的インパクト評価にも有効と考えられはじめだました。

冒頭に書きましたように、最近、「社会的インパクト」と言う言葉を見かけることが多くなったのは、SDGsが一般企業にも浸透してきたことを無関係ではないかも知れません。

つまり、NPO等に加え、一般企業も社会的インパクトマネジメントを採用しはじめた…
考えてみれば、一般企業がSDGsに取組むと言うことは、社会課題の解決を目指すことに他なく、社会の(良い)変化(アウトカム)を評価する社会的インパクトと相性が良いのはある意味、自然の流れかも知れません。
もともと、出発地点が違う社会的インパクトとSDGsでしたが、実は親和性があったのです。
「インパクト評価」で言う「社会」は、ごく小さな身の回りの世界だけのことかも知れません。しかし、その積み重ねが、大きく社会を変えていくのではないかと微かに期待しています。

今日は言葉の「定義」ばかりで、あまり面白みはなかったかも知れませんね。
次回以降は、具体的な事例紹介を中心に社会的マネジメント(SIM)を、
どう活用すれば良いかを考えていきたいと思います。

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