事業再構築補助金シリーズ ~不採択事由の研究~

事業再構築補助金 採択状況

難関と謂われる事業再構築補助金。

所謂「不採択事由」が採択のヒントになるかも知れません。

【 参考計数 】

第1~5回採択状況(累計)  第6回採択状況 (新年度)

2021年4月~22年3月               2020年3月~6月

      累計     (平均)     件数

申請件数 104,046  (20,809)    15,340

採択件数   44,887    (8,977)       7,669

採択率     43%                                 50%

第6回 9月上旬採択結果発表予定

第7回 公募中(9月末締切) 最低、あと1回は公募予定

今回は開示される不採択事由をもとに、
採択される為には何が足りなかったかを考察しましょう。
制度により異なりますが、事業再構築補助金はじめ最近の経済産業省関係の補助金では不採択となった申請者に「審査員コメント」を開示。
(電話連絡のみ/申請者本人限定=当会のような支援者不可)
これは不採択の理由に特化したものではなく、各審査員(事業再構築の場合は1案件を3人が個別に審査)が自己の審査終了時に書き記したもの(の一部)を、事務局が口頭(のみ)で申請者に伝達しています。
したがって、その不採択事由に関するデータ収集には自ずと限界があり、今回、親密なコンサル(診断士、経営士)等複数の支援者等の協力を得て可能な限り収集しました。が、残念ながら、その伝達・収集実態から、完璧な正確性や全体動向把握について保証するものではないことを、あらかじめお断りしておきます。

「不採択事由」開示の変遷

近時、制度的にも安定とは言うものの、この開示制度も相応の変遷を経て、現在の貌に至っています。

その変遷を端的に表現すると下記のようになります。

第1回 審査員、暴走期(言いたい放題時代)
第2回 審査員、急に大人しくなる。例文ルール採用か?
第3回 「事業化、再構築ごとに各3件のコメント」形式定着
第4回 ABC評価登場 (全体)
第6回 ABC評価は2項目(事業化、再構築)ごとに表示

「不採択事由」開示の変遷 2

第1回 審査員、暴走期(言いたい放題時代)

この時の審査員コメントは、傍若無人、言いたい放題でした。

例えば、

「コロナは間もなく収束します」

  ~去年の4月の時点ですよ。全くの個人的見解。勿論、大外れ。

「金融機関の確認書がない」

  ~3000万円以下の申請に対して。公募要領くらい読めよ!

「デジタル技術の活用がない」

  ~対面式の塾をオンライン方式にすると言う案件ですが…

もし、これら誤った観点による評価で不採択の結果になったとしたら

許し難いことですよね。

「不採択事由」開示の変遷 3

第2回 審査員、豹変す! (突然、大人しくなった審査員)

おそらく、前頁に見られる第1回の審査員コメント等に申請者・支援者から苦情が殺到したのでしょう。第2回から審査員コメントは様変わりとなりました。

例えば:
「現在の自社の経営資源(人材、設備、資金等)を最大限に生かしたリソースの最適化が明記された事業計画だとより良い」
 まず、言葉遣いが丁寧になり、「~すると良い」「より良い」「望ましい」と一見へりくだった表現になりましたが、内容自体は結構辛辣。
 この時、支援者は皆、戸惑ったものです。とってつけた様な、そして抽象的な表現は一定の「例文」の存在が想起され、「審査員による自由回答から、与えられた選択肢(例文)の中で、より近いものを選ぶ方式」へ変更されたのではないか、そして、その例文は公募要領そのものではないか?と推測されました。

ここに至って、私も本格的にコメントの収集を開始しました。

「不採択事由」開示の変遷 4

第4回 ABC評価登場

第1回での審査員は「独断と偏見」全開でしたが、一方で、具体的な指摘も行っていました。

例えば、
「遊休物件の活用案件だが、当該建物は築**年の廃屋であり、改修費用等は申請した金額では収まらないと思われる。」
しかし、2回目以降は「例文」的=抽象的表現にとどまり、具体的に、どこをどう改善すれば、採択に近づけるのか、指摘事項さえクリヤーすれば、それで採択されるのかについては皆目不透明でした。

その為か、第4回からは定性評価(コメント)に加え、定量評価(ABCランク、当然Aが採択に近い)が公表されるようになりました。

現在の不採択コメントの開示形式

・定量評価+定性評価(改善ポイント)

現時点では上記2つの評価が開示されています。 

 具体的には
ABC評価+審査員コメント#(2項目*3コメント)
 開示される先は皆、この構成となっています。

 #「改善ポイント」と称していますが、悪い点だけでなく、 良い点の指摘も含まれていることもあります。
例えば:
「現在の自社の人材・技術・ノウハウ等の強みを活用することにより効果的な取組みとなっている点が記載されている点が良い」

コメントを巡る謎・疑惑

・審査員のコメントは何故か審査項目の内の
「事業化」「再構築化」項目に限定されています。
 審査項目は他にも「政策点」やそれぞれの枠に固有の審査項目があるにも拘わらず、です。
(政策点は事務局にて審査・採点するとの未確認情報も)
 現時点で入手している全ての情報がこの2項目のみ。

・そもそも3人の審査員が個別に評価しているにも拘わらず、開示されるコメントは常時必ず3件と言う事実は事務局によるコメントの取捨選択が行われていることを推測させます。

コメントを巡る謎・疑惑 2

【 結論 】

開示される審査員のコメント(改善ポイント)はすべてではなく「一部に過ぎない」と言うことです。

換言すれば、開示されたコメントに全部完璧に対応したとしても、それが全てではない訳であり、必ず採択になるとは限らない、と言うことです。

また、今日、示されるコメントは、公募要領の審査項目そのものとなっています。

コメント対応する際の留意事項

1.開示されたコメントが改善点の全てではないことは、前記のとおり、ほぼ間違いありません。

2.多忙な審査員はジックリ計画書を読んでくれる訳ではない。

支援者の間でよく話題になることがあります。「指摘された改善ポイントについては記載してあるのに… 」計画への記載内容が不十分だったのかも知れませんが、

一方で、審査員が計画書に目を通す時間は正味10~15分程度と謂われており、要は、結果として「読み落とし」が発生する懸念も有り得ると言うことです。

コメント対応する際の留意事項 2

必須条件ではありませんが、公募要領には、計画書の分量についての協力が要請されています。

「15頁。 補助金額申請1500万円以下の場合、10頁」

一部にすぎない改善ポイントへの対応に徒らに且つ必要以上に分量を割けば、却って計画書としての全体観が歪なものとなる懸念すらあります。

なお、審査員は自分の担当案件がリベンジされたものか否かについては知らされておりません。まして、過去の改善ポイント指摘についてをや。

次回は、具体的な指摘事項を逐一採り上げ、その対応方法を考察します。

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